icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina25巻10号

1988年09月発行

文献概要

増刊号 診断基準とその使い方 III.消化管

9.急性胃粘膜病変

著者: 並木正義1

所属機関: 1旭川医科大学・第3内科

ページ範囲:P.1802 - P.1803

文献購入ページに移動
■診断基準とその解説
 診断上の必要条件を簡明にまとめたものを診断基準とするならば,急性胃粘膜病変(acute gastric mucosal lesions;AGML)のそれは表1のようになる.あえてエックス線診断を文中に入れなかったのは,確定診断はやはり内視鏡検査によらなければならないからである.実際において,表1に示したような急性の臨床症状を呈して来院し,AGMLが疑われる場合には,まず内視鏡でみるのが一般的である.そのほうが急性の粘膜変化,特に出血などの様相は具体的にわかるし,必要に応じて内視鏡的止血も可能だからである.もちろんエックス線検査でも,粘膜浮腫の状態や,多発する潰瘍性変化の所見は診断上参考になる.
 症状のところで,"多くの場合"としたのは,老年者などで,自覚症状がなくてもAGMLの所見を有する例に遭遇するからである.要は自覚症状よりも内視鏡所見が診断の決め手となる.またAGMLをみたなら,その発生要因については当然考慮しなければならない.主な発生要因を表2に示す.だが,AGMLの内視鏡所見は各要因によって様相が異なるといったことは,特別な場合を除いてはあまりない.内視鏡所見のところで,明らかな炎症性変化としたのは,ごく軽度の赤発,浮腫,点状出血斑まで含めたのではきりがないからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?