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文献詳細

雑誌文献

medicina25巻10号

1988年09月発行

文献概要

増刊号 診断基準とその使い方 III.消化管

14.虚血性腸炎

著者: 水谷謙二1 馬場正三1

所属機関: 1浜松医科大学・第2外科学

ページ範囲:P.1814 - P.1815

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■疾患概念と疫学
 1)概念
 腸管の虚血により生じる病変に対して様々な呼称があるが,最近ではischemic bowel disease(虚血性腸病変)が用いられている.虚血性小腸炎の報告はまれであるので症例を呈示するにとどめ(図),本稿ではischemic colitisを中心に述べる.1963年Boleyらは,主幹動脈に閉塞がないにもかかわらず大腸に虚血性病変が発症し,可逆的に治療した症例を報告し,reversible vascular occlusion of the colonという概念を提唱した.その後1966年になってMarston1)らが,血行障害に起因する病変が大腸の炎症性疾患に類似することから,これを総合的にischemic colitis(虚血性大腸炎)として報告して以来,一疾患単位として認められるようになり,最近本邦においても報告例が増加している.
 ischemic colitis(虚血性大腸炎)の臨床像は「50歳以上の高齢者で,腹痛,下血,下痢を主訴として発症し,左側結腸に好発して特徴的な注腸造影や内視鏡所見を呈し,一過性に軽快することの多い症例」とされている.早期に本疾患に気づけばその診断は比較的容易である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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