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文献詳細

雑誌文献

medicina25巻10号

1988年09月発行

文献概要

増刊号 診断基準とその使い方 IV.肝・胆・膵

1.劇症肝炎と肝不全(急性肝不全)

著者: 藤原研司1 富谷智明1

所属機関: 1東京大学医学部・第1内科

ページ範囲:P.1838 - P.1839

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■急性肝不全と劇症肝炎
 急性肝不全(acute hepatic (liver) failure)とは肝細胞壊死,機能低下の急速な進行により肝不全状態,すなわち肝性脳症,出血傾向,黄疸などを呈する病態であるが,その内容は内外ともにまちまちである.欧米では,基礎疾患として慢性肝疾患の有無,原因としてウイルス以外による場合の取り扱い,肝炎様症状発現から脳症発現までの期間などに関して異なった立場がある.一般的には急性肝不全は用語上fulminant hepatic failureと,とくに区別せずに用い,広範肝細胞壊死の急性発症例を指すことが多い.すなわち,進行性の黄疸,症状発現後8週以内のII〜IV度の肝性脳症の発現,剖検時に肝萎縮がみられ,肝障害の既往がないもの,病因としてウイルス以外にもハロセン,さらには薬剤,急性妊娠脂肪肝なども含めた症候群,として理解されている1).一方,劇症肝炎(fulminant hepatitis)はその由来が予後不良の流行性肝炎を指す用語として用いられたことから,急性ウイルス肝炎を意識して用いられている.本邦の劇症肝炎は欧米のacute hepatic failureの概念に基づいて定義づけられたので,欧米のものとは異なり症候群である.しかし,本邦における劇症肝炎は,80%以上がウイルス性と考えられるので,内容的には欧米のfulminant hepatitisと類似している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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