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文献詳細

雑誌文献

medicina25巻10号

1988年09月発行

文献概要

増刊号 診断基準とその使い方 IV.肝・胆・膵

3.ルポイド肝炎,自己免疫性肝炎

著者: 溝口靖紘1

所属機関: 1大阪市立大学医学部・第3内科

ページ範囲:P.1844 - P.1845

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■自己免疫性肝炎の概念
 1956年Mackayは,LE細胞現象を伴い,いくつかのSLE様の臨床症状を伴う活動性の肝炎に対し,初めてルポイド肝炎(lupoid hepatitis)と名づけた.ところが,本症を特徴づけるLE細胞現象は,その検出が常時認められるものではなく,時期を失すると本来陽性であるべき症例でも陰性の結果しかえられないことが判明し,さらに自己免疫性を示す所見として,LE細胞現象のほかに,抗核抗体や抗平滑筋抗体などの自己抗体が本症で認められることが明らかとなった.そこで,1965年再びMackayは1)これら一群の活動性慢性肝炎が,たとえウイルス性肝炎として始まったとしても,肝における自己免疫反応の持続が,進行性の肝細胞破壊の原因であると考え,自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis)なる名称を与えた.ここではもはやLE細胞現象は必須とは考えられなくなった.現在,LE細胞陽性のルポイド肝炎,およびLE細胞陰性,抗核抗体陽性のルポイド肝炎類縁疾患を自己免疫性肝炎と呼んでいる.
 本疾患は異常な免疫応答能の存在によって生じた肝に対する自己免疫現象が病態の主体をなし,この病態の成立機序に免疫遺伝学的背景の関与が強く示唆される活動性で進行性,破壊性の慢性肝炎の一群として把握されると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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