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文献詳細

雑誌文献

medicina25巻10号

1988年09月発行

文献概要

増刊号 診断基準とその使い方 IV.肝・胆・膵

9.特発性門脈圧亢進症

著者: 今井深1 亀田治男1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学・第1内科

ページ範囲:P.1858 - P.1860

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■概念と疫学
 特発性門脈圧亢進症(Idiopathic Portal Hyper-tension;IPH)の概念は,厚生省特定疾患調査研究班(班長:亀田治男)の定義によると「脾腫,貧血,門脈圧亢進を示し,しかも原因となるべき肝硬変,肝外門脈・肝静脈閉塞,血液疾患,寄生虫症,肉芽腫性肝疾患,先天性肝線維症などを証明しえない疾患をいう」とされている.
 従来からのBanti症候群と呼ばれてきた疾患はほぼIPHと同一疾患と考えてよい.そしてIPHはわが国では中年女性に多発することも一つの特徴となっている.成因はいまだ不明確な点があるが,1975年以来の調査研究によりほぼその全容が明らかになってきた.とくに本疾患の発生原因は脾腫および門脈圧亢進状態が存在することから肝臓に起因疾患があるとする肝源説と脾臓に感染などの主病変があり,その結果として生ずる脾源説とが対立してきた.いずれにせよ肝組織所見の詳細な検討により,現在では本疾患の門脈圧亢進症状の発生原因は肝血流量に対し,類洞前の抵抗増大が主たる原因と考えられるに至っている.この裏づけとして組織学的に太い門脈壁の硬化性変化,周囲の線維化,末梢門脈枝の閉塞性変化,つぶれ,消失,門脈域の線維化などが認められており,このことからも肝内門脈閉塞に属するものと考えられている1).しかしこの門脈末梢枝への変化をもたらす原疾患については依然として不明である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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