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増刊号 診断基準とその使い方 V.内分泌
32.Ellsworth-Howard試験実施法
著者: 多久和陽1 山本通子2
所属機関: 1筑波大学臨床医学系・内科 2関東中央病院・内科
ページ範囲:P.1930 - P.1931
文献購入ページに移動Ellsworth-Howard試験は外因性副甲状腺ホルモン(PTH)に対する腎の反応性(尿中リン酸増加反応とサイクリックAMP(cAMP)増加反応)を指標に,副甲状腺機能低下症の鑑別診断を行う検査である.副甲状腺機能低下症は,低Ca血症,高リン血症の生化学的異常と低Ca血症に基づく精神神経症状を特徴とする症候群である.本症候群は病因から,PTHの分泌低下によるものと,標的器官のPTHに対する不応性によるものの2つに大別される.前者は副甲状腺の形成不全,さまざまな機序による副甲状腺の破壊,損傷によるものなど種々の原因からなるものが知られているが,頸部手術後の副甲状腺機能低下症を除けば大部分は,原因の明らかでない特発性副甲状腺機能低下症(idiopathic hypoparathyroidism;IHP)と呼ばれるものである.一方,PTH不応症を特徴とする副甲状腺機能低下症は,1942年,Albrightらにより初めて記載され,偽性副甲状腺機能低下症(pseudohypoparathyroidism;PHP)と総称される.PHPは現在では更に,PTH不応性の機序に基づき,レセプター・アデニレートサイクレース系に異常がある病型(type I)と,cAMP産生以後のステップに異常があると考えられる病型(typeII)の2型に分類されている.
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