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増刊号 診断基準とその使い方 V.内分泌
37.偽性アルドステロン低下症
著者: 猿田享男1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部・内科
ページ範囲:P.1939 - P.1939
文献購入ページに移動■疾患の概念
腎臓および副腎機能が正常であり,アルドステロン分泌に障害がなく,血漿アルドステロンが正常あるいは高値にもかかわらず高K血症を呈する病態である.その原因として腎尿細管,主としてアルドステロンの作用する遠位尿細管から皮質集合管に至る部位のアルドステロンに対する反応性低下が考えられている.
最初の報告は1958年Cheek & Perry1)によるもので,Na喪失と低血圧を主徴とする小児例での報告であり,その後,同様の症例が欧米で40〜50例,本邦でも数例発表されている.いずれも小児例の報告であり,その発症には遺伝的要因の関与が示唆されている.このような一連の報告とは別に,高血圧と高K血症を呈する偽性低アルドステロン症の症例もみつかってきた2).従来の症例がアルドステロンに対する尿細管の不応性のためにNa喪失を来す一方,高K血症を来し,Na・水喪失から有効循環血液量の減少を生じて,血漿レニンが高値であることが多いのに対し,後者の症例では,アルドステロンに対する尿細管の不応性があるものの,Na喪失は生ぜず,逆にNa排泄が低下して循環血液量が増加して高血圧を来している.このようにアルドステロンの不応性があっても,両病態はかなり異なることから,Schambelanら3)は,前者を偽性アルドステロン症Type I,後者をType IIと命名している.
腎臓および副腎機能が正常であり,アルドステロン分泌に障害がなく,血漿アルドステロンが正常あるいは高値にもかかわらず高K血症を呈する病態である.その原因として腎尿細管,主としてアルドステロンの作用する遠位尿細管から皮質集合管に至る部位のアルドステロンに対する反応性低下が考えられている.
最初の報告は1958年Cheek & Perry1)によるもので,Na喪失と低血圧を主徴とする小児例での報告であり,その後,同様の症例が欧米で40〜50例,本邦でも数例発表されている.いずれも小児例の報告であり,その発症には遺伝的要因の関与が示唆されている.このような一連の報告とは別に,高血圧と高K血症を呈する偽性低アルドステロン症の症例もみつかってきた2).従来の症例がアルドステロンに対する尿細管の不応性のためにNa喪失を来す一方,高K血症を来し,Na・水喪失から有効循環血液量の減少を生じて,血漿レニンが高値であることが多いのに対し,後者の症例では,アルドステロンに対する尿細管の不応性があるものの,Na喪失は生ぜず,逆にNa排泄が低下して循環血液量が増加して高血圧を来している.このようにアルドステロンの不応性があっても,両病態はかなり異なることから,Schambelanら3)は,前者を偽性アルドステロン症Type I,後者をType IIと命名している.
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