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文献詳細

雑誌文献

medicina25巻10号

1988年09月発行

文献概要

増刊号 診断基準とその使い方 VI.代謝

16.Hemochromatosis

著者: 土屋雅春1 東俊文1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部・消化器内科

ページ範囲:P.1984 - P.1985

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 ■疾患概念
 ヘモクロマトーシス hemochromatosis(以下HCと略す)はヘモジデリン hemosiderinが間葉系組織のみならず肝細胞,膵外分泌腺細胞など実質細胞にも大量に蓄積し,そのために諸臓器障害を来す疾患を示し,原因不明で家族性の発症するものを特発性ヘモクロマトーシス idiopathic hemochromatosis(以下IHC)といい,原因が明らかなものを続発性ヘモクロマトーシス secondary hemochromatosis(以下SHC)と呼ぶ.IHCは鉄の先天的代謝異常で,腸管から過剰に吸収された鉄が長年にわたって徐々に全身の諸臓器に蓄積される結果発症するといわれ,発症年齢は45~55歳が最も多い.常染色体遺伝形式で,圧倒的に男子に発症し,男女比は10:1である.膵の著しい鉄沈着に伴う線維化,ランゲルハンス島の減少の結果糖尿病となり,また,副腎機能不全の結果皮膚基底層にメラニン色素が増加する.このため典型例では青銅色を呈し,bronze diabetesとも呼ばれる.糖尿病,皮膚色素沈着,肝硬変を合わせ三徴,さらに心機能障害,性機能障害のいずれかを加えて四徴という.鑑別診断において特に問題となるのはヘモジデローシス hemosiderosis(以下HS)である.一般に,HSはHCに比しヘモジデリンの沈着がKupffer細胞を中心とした網内系に著明であり,皮膚色素沈着,肝機能障害以外に組織障害を伴わないとされる.しかしアルコール過飲者に見られる肝硬変症では,しばしば糖尿病や皮膚の色素沈着を伴う.アルコールの中でもワインは鉄含有量が多いため,腸管からの鉄の吸収は増加し鉄の沈着が促される.IHCでは血清中の鉄結合性蛋白の大部分が鉄に飽和されUIBCが極端に低くなるのに対し,アルコール性肝硬変や他の肝硬変ではUIBCは特に低値をとらない1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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