icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina25巻10号

1988年09月発行

文献概要

増刊号 診断基準とその使い方 VII.血液

22.特発性血小板減少性紫斑病

著者: 野村武夫1

所属機関: 1日本医科大学・第3内科

ページ範囲:P.2060 - P.2063

文献購入ページに移動
■診断基準(表1)
 ■疾患概念と疫学
 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は,特発性という病名が示すように,原因不明の血小板減少に基づく出血を主要症状とする疾患である.ITPでは血小板の血管内寿命が著しい短縮を示すが,これは血小板が早期に脾,肝などの細網細胞によって捕捉処理されるためである.ITPの血小板には,正常に比べ大量の免疫グロブリンが付着しており(PAIgG),血漿中にもしばしば血小板と結合する免疫グロブリン(PBIgG)の増量が証明される.PAIgGおよびPBIgGの少なくとも一部は抗血小板自己抗体であり,これが結合した血小板はFcレセプターを介して細網細胞に取り込まれてしまうため,流血中の血小板が減少すると考えられている.
 すなわち,ITPは自己免疫性疾患であるとみなす見解が一般的であり,そこで,ITPのIは免疫性immuneのイニシアルと理解するむきもある(さらに詳しくautoimmuneと規定し,本症にATPの略語をあてることがある).しかし,抗血小板自己抗体がどのようにして,なぜ生成されるのかという問題は依然として不明のまま残されており,この観点から,Iはやはり特発性idiopathicの略号としておくのがよい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?