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文献概要
増刊号 診断基準とその使い方 X.神経・筋
2.多発梗塞性痴呆
著者: 水谷智彦1
所属機関: 1日本大学医学部・神経内科
ページ範囲:P.2200 - P.2201
文献購入ページに移動■疾患概念と疫学
多発梗塞性痴呆(Multi-infarct dementia;MID)という言葉は,Hachinskiら1)が1974年の総説で用いたのが最初のようである.そこでは,脳動脈硬化のみでは痴呆は生じないこと,また,血管病変が痴呆の原因となる時は,大小の脳梗塞の多発によって生ずること(MID)がそれぞれ強調されている.
MIDが脳血管性痴呆と同義語のように使われる時もあるが,痴呆は梗塞ではないBinswanger型脳症(progressive subcortical vascular encephalopathy)や多発脳出血,視床・後大脳動脈領域などの限局性脳梗塞でも起こることから,MIDは脳血管性痴呆の主因ではあるがそのI型であり,脳血管障害による痴呆の総称として用いるのは適切ではないとする考えが現在一般的である.
多発梗塞性痴呆(Multi-infarct dementia;MID)という言葉は,Hachinskiら1)が1974年の総説で用いたのが最初のようである.そこでは,脳動脈硬化のみでは痴呆は生じないこと,また,血管病変が痴呆の原因となる時は,大小の脳梗塞の多発によって生ずること(MID)がそれぞれ強調されている.
MIDが脳血管性痴呆と同義語のように使われる時もあるが,痴呆は梗塞ではないBinswanger型脳症(progressive subcortical vascular encephalopathy)や多発脳出血,視床・後大脳動脈領域などの限局性脳梗塞でも起こることから,MIDは脳血管性痴呆の主因ではあるがそのI型であり,脳血管障害による痴呆の総称として用いるのは適切ではないとする考えが現在一般的である.
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