icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina25巻3号

1988年03月発行

今月の主題 消化性潰瘍とその周辺

消化性潰瘍の成因

微小循環

著者: 佐藤信紘1

所属機関: 1大阪大学医学部・第1内科

ページ範囲:P.402 - P.404

文献概要

 消化性潰瘍は字のごとく,消化液による消化管粘膜の潰瘍性病変を指すが,ulcus pepticumと名づけれたのが19世紀中頃ときくので,古くから原因が特定化されていた病気である.これは消化液がきわめて多量に分泌されるために生じるか,消化液には著変がなくても粘膜抵抗が低下したために生じる.前者の典型はZollinger-Ellison Syn-dromeであり,後者の典型はストレス潰瘍である,後者は,ストレス(精神的および肉体的)により粘膜抵抗の減じた際に生じるが,ストレスのみでは小さな病変しか生じず,ストレスの際に,あるいはストレス後に消化液が粘膜抵抗の減弱の度合に応じて共存すると,臨床的に問題となる病変が生じる.消化液の関与は粘膜抵抗の減弱が著しいほど小さく,少量の酸で大きな潰瘍ができる1).酸の関与が少ないと考えられる老人性胃潰瘍や,萎縮の強い高位胃潰瘍でもH2ブロッカーが卓越した効果を示すのは,これらの潰瘍ではそれだけ粘膜抵抗が弱まっているため,少量の酸が攻撃因子として大きな意味を持つのである2)
 最近,粘膜抵抗については,粘液,重炭酸分泌,プロスタグランディン,細胞回転,血流といった種々な面から解明が進み,粘膜防御を高める薬剤も数多く開発され,潰瘍の成り立ち,患者の背景を考慮したきめ細かい処方が可能となった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら