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文献詳細

雑誌文献

medicina25巻4号

1988年04月発行

今月の主題 今日の心不全診療

薬物治療—適応,使い方,副作用

血管拡張薬

著者: 松崎益徳1 片山和裕1

所属機関: 1山口大学医学部第2内科

ページ範囲:P.626 - P.629

文献概要

 心拍出量は心機能を評価するための重要な指標であり,それを規定するものとして,心臓に対する後負荷(動脈圧),前負荷(拡張終期容量または拡張終期圧),および心収縮性の3つの因子がある.
 慢性心不全状態においては,心収縮性の低下による有効循環血液量の低下はrenin-angiotensin-aldoste-rone系の活性とADHの分泌を高め,腎におけるNa,水の再吸収を促進し循環血液量を増大し,ひいては前負荷を増大し心拍出量を保とうとする(Frank-Star-ling機序).一方,末梢血管は収縮し,心臓に対する後負荷も増大している.古くより,左心室の拡張終期容量を一定にしておき後負荷を変化させたとき,1回心拍出量と後負荷との間には逆相関がみられることが示されており,また静脈還流量が,心臓の前負荷を規定することもわかっていた.したがって,動脈系を拡張させる薬物で,後負荷を減少させることにより,前方拍出量の増加が,また,静脈系を拡張させ,静脈還流を減少させることにより,心臓の前負荷を減少させ,肺うっ血を軽減させることが期待される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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