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文献詳細

雑誌文献

medicina25巻4号

1988年04月発行

今月の主題 今日の心不全診療

心不全最近の知見

心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)

著者: 小川宏一1

所属機関: 1名古屋大学医学部第2内科

ページ範囲:P.680 - P.681

文献概要

 1956年,Kirschにより初めて,心房に分泌顆粒が存在することが報告され1),その後,JamiessenとPaladeにより,ヒトを含む哺乳類の心房に分泌顆粒が存在することが観察された.1976年,Hattらは,これらの顆粒数がナトリウムと水分の摂取により変化することを観察した.1981年,deBoldは,ラット心房よりのホモジェネートをラットに投与すると,著明な利尿とナトリウム排泄が起きることを報告した2).それ以後,数多くの研究の結果,これらの顆粒は生物学的に活性を有するペプタイドを含み,心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)と呼ばれるようになり3),これらは,ナトリウム排泄,利尿作用,血管拡張作用,およびアルドステロン合成阻害作用を有していることが報告されている.さらにANPは標的細胞で,secondmessengerとしてcyclic GMP(c-GMP)を生成することも分かってきた.
 1985年,Tikkanenら,Nakaoka4)らが初めて心不全例で血漿ANP濃度が高値を示すことを報告して以来,心不全とANPに関する数多くの報告がなされている.筆者らも心不全を有する各種心疾患患者につき,心エコー,心臓カテーテル時に採血,血漿ANPを測定し,心機能とを比較,検討したのでその結果を示す5)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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