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文献詳細

雑誌文献

medicina25巻5号

1988年05月発行

今月の主題 肝炎への新しいアプローチ

慢性肝炎へのアプローチ

B型慢性肝炎再燃(schub)と急性肝炎との鑑別

著者: 矢野右人1 川口豊1

所属機関: 1国立長崎中央病院・臨床研究部

ページ範囲:P.845 - P.847

文献概要

 B型急性肝炎はHBウイルスに感染後平均8週より12週程度の潜伏期の後に食思不振,倦怠感,黄疸などの症状で発病する.潜伏期を観察すると発症前4週目頃より血中にHBs抗原が出現し,次第に増加している.感染ウイルスの増殖に対し,宿主の免疫応答が細胞性免疫の機序により肝細胞を破壊し,増殖したウイルスをクリアーしようとする現象が急性肝炎症状として現れる.
 一方,B型慢性肝炎は原則として生涯持続するHBウイルスのキャリアーでHBウイルス量が宿主免疫応答の閾値を越える増殖があった場合,急性肝炎と同様に細胞性免疫機序で肝細胞を破壊し,HBウイルスをクリアーしようとする現象である.しかし,慢性肝炎では細胞性免疫はこれらのHBウイルス増殖を完全に排除することは出来ず,その後のHBウイルス増殖によって再度の肝機能異常を来し,このような現象を繰り返すのが特徴である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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