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講座 肺癌診療・3
早期の肺癌を見つけるには—X線診断・その2
著者: 山田耕三1 江口研二1
所属機関: 1国立がんセンター内科
ページ範囲:P.912 - P.920
文献購入ページに移動肺野型肺癌は,単純X線像で肺野に異常影を発見することが,唯一の手がかりであるが,単純X線写真上で実際に読影が容易な範囲は少ない.縦隔部すなわち中央陰影に重なる部分,両横隔膜下に広がっている部分,鎖骨や肋骨に重なる部分では陰影を把握できないことが多い.また肺の実質構造は含気した3次構造のため,既存の肺構造の状態によって陰影の性状も変化する.つまり周囲の肺実質の含気の程度や,陰影内の含気の量によっても陰影の形,濃度なども変化してしまう.例えば,上下葉間に接している病変であれば,正面写真で徐々に濃度が変わり,境界が不鮮明になるであろうし,肺の気腫性変化が強ければX線透過度の関係で病変自体の濃度は薄く表現されてしまう.
これらの基本的なことを念頭に置き,本稿では肺野型肺癌の読影について述べる.
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