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今月の主題 リウマチとその周辺 治療
リウマチの治療概論
著者: 柏崎禎夫1 西成田眞1 鈴木厚1
所属機関: 1北里大学医学部内科
ページ範囲:P.978 - P.982
文献購入ページに移動慢性関節リウマチ(RA)の病因は不明であるため,RAに対しては未だ原因療法と呼べるものはない.したがって,現時点でのRAの治療目標は,
①RA炎症の根幹である免疫異常の是正
②RA炎症の抑制,ないしは鎮静化
③疼痛とこわばりの除去,ないしは軽減
④関節機能の維特,あるいは強化
⑤変形,拘縮と強直の予防
の5点に絞られる.これらの目標の力点の置きどころは,当然のことながら患者個人個人の病態によって異なる.発症早期や進行期の患者では①,②,③に,RA炎症の燃え尽きた(burned-out)患者では③,④,⑤に目標を設定する.最終的には,家庭で,あるいは仕事場で,少しでも生産的な生活が快適にできるようにすることである.
どのような治療を施そうが,やがては身障者になってしまうという悲観的な考え方が依然としてあるが,すべてのRA患者に当てはまる考えではない.よしんば身障者になるとしてもそこに至るまでの間の生活の質(quality of life)を少しでも高めるよう努力するのが医師を含めた医療スタッフ(HP, health professionals)の義務である.
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