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文献詳細

雑誌文献

medicina25巻7号

1988年07月発行

文献概要

今月の主題 高血圧治療のポイント 高血圧の定義と診断

高血圧の定義—家庭血圧と診療室での血圧

著者: 中村吉成1 増山善明1

所属機関: 1和歌山県立医科大学・循環器内科

ページ範囲:P.1122 - P.1124

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 臓器の血流は,心収縮によって生ずる駆出血流量と,血管内腔の変化によって維持される.血圧は,心拍出量と全末梢血管抵抗によって規定される.高血圧は通常,収縮期および拡張期血圧の持続的な上昇をいう.血圧は年齢によっても変化し,また,健常者でも日常生活の種々の環境因子によっても生理的に変動を示す.高血圧の診断に際しては,持続的な高血圧状態であるのか,一過性の血圧上昇なのかを,1回の血圧値のみで評価することは一般に困難である.1978年のWHOの高血圧診断基準1)と1986年のWHOの軽症高血圧のガイドライン2)では,一定期間に少なくとも2回以上測定した坐位随時血圧値に基づいて高血圧を判定するとしている.
 医師が診療室で血圧を測定する際には,患者の緊張により血圧は一時的に上昇することが知られている.しかし,外来診療では患者を心身とも安静に保つことは一般には困難な場合が多く,このような血圧変動を考慮した上で,患者の血圧値を評価しなければならない.高血圧の診断と管理には,できれば,日常生活における血圧値を把握することが望まれ,そのため家庭血圧の測定が行われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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