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文献詳細

雑誌文献

medicina25巻7号

1988年07月発行

文献概要

今月の主題 高血圧治療のポイント 治療開始時期と治療目標

治療開始時期—降圧薬の開始時期

著者: 伊藤敬一1 南ルリ子2

所属機関: 1国立八日市病院 2国立八日市病院内科

ページ範囲:P.1132 - P.1133

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 高血圧の治療は,肺炎に対する薬物治療などとはその性質を異にすることを,まず認識しておく必要がある.血圧を下げること自体が治療の最終目的ではない.高血圧の持続により将来どれほどの循環器系の障害が起こるか,また,これを降圧によってどの程度防止できるかを予測の上で治療を考えねばならない.また,高血圧の治療は長期間にわたるので,薬物による降圧のメリットとともに,降圧薬の副作用,その他の治療に伴う種々のデメリットを考慮して薬物治療の時期を決定する必要がある.
 拡張期血圧(DBP)が105mmHgをこすような中等症以上の高血圧症に対しては,降圧薬治療による有用性はすでに多くの成績からほほ確認されているが,DBP90〜104mmHgの軽症高血圧症に対する降圧薬の有用性は,まだ必ずしも明確にされたとはいい難い.したがって,これまでも軽症高血圧症の治療の効果に対する多くのtrialが各国で行われてきており,また,WHOからも軽症高血圧症の治療に関する指針が数年おきに出されている.これらを中心に,以下,軽症高血圧症の薬物治療開始の時期を考えてみたいと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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