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カラーグラフ 非観血的検査法による循環器疾患の総合診断
心室中隔の異常運動が診断のきっかけとなった左心膜完全欠損症の1例
著者: 福田信夫1 大木崇1 内田知行1 井内新1 奥本哲生1 森博愛1
所属機関: 1徳島大学医学部・第2内科
ページ範囲:P.1240 - P.1249
文献購入ページに移動1)平静呼吸中の心音図(図2)
I音,II音は正常範囲内の音量と分裂を示し,III音,IV音も痕跡的で,心音に関しては異常所見を認めない.
心雑音は収縮期と拡張期に区別して考えると理解しやすい.心尖部(Apex)の収縮期雑音〔SM(1)〕は,高調かつ全収縮期性の性質を有し,一般的には逆流性雑音,すなわち僧帽弁閉鎖不全雑音と考えられるが,第3心拍(黒矢印)にみられるように吸気性増大を示す点で非典型的である.第4肋間胸骨左縁(4L)の収縮期雑音〔SM(2)〕は収縮早期に限局し(第2心拍で明瞭),駆出性雑音である.ただし第3心拍にみられる収縮中〜後期性の雑音(白矢印)は表在性に聴かれ,また吸気のはじめに突然出現していることから,いわゆる心肺性雑音(cardiopulmonary murmur)と考えられる.したがって,心尖部収縮期雑音の吸気性増大に関しては,この雑音の関与している可能性が強い.
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