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カラーグラフ 非観血的検査法による循環器疾患の総合診断
大動脈弁閉鎖不全の合併により壁肥厚の特徴が消失した肥大型心筋症の1例
著者: 大木崇1 福田信夫1 河野智彦1 林真見子1 河野和弘1 森博愛1
所属機関: 1徳島大学医学部・第2内科
ページ範囲:P.1406 - P.1414
文献購入ページに移動1)入院時の心音図(図1)
I音は心尖部(Apex)で減弱し,第5肋間胸骨左縁(5L)で正常の音量を示す.心尖部から第4肋間胸骨左縁(4L)にかけて存在する明瞭な駆出音(Ej)は,その記録範囲から大動脈駆出音であると判断できる.II音はわずかに逆分裂を示す.III音(III)は著しく増大,かつ早期(IIA-III時間=130msec)に出現し,左室充満圧の上昇が推察される.
収縮期雑音は,駆出音から開始するdiamond型の収縮中期雑音〔SM(1)〕,すなわち大動脈性駆出性収縮期雑音が主体を占める.しかし,心尖部の収縮期雑音〔SM(2)〕はSM(1)に比べて漸減部分が長く,また心尖部と5Lに高調な雑音(矢印)を認めることより,房室弁閉鎖不全の合併が考えられる.さらに,両部位において雑音の形状が異なることは,僧帽弁閉鎖不全と三尖弁閉鎖不全の共存が示唆される.
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