文献詳細
文献概要
今月の主題 カルシウム代謝と骨 カルシウム代謝異常症と骨
ビタミンD抵抗性クル病
著者: 清野佳紀1
所属機関: 1大阪大学医学部・小児科
ページ範囲:P.1516 - P.1520
文献購入ページに移動 ■ビタミンD依存症I型
1961年Praderは,低Ca血症を伴い,二次性副甲状腺機能亢進を示し,病状がビタミンD欠乏性クル病と酷似しているにもかかわらず,治療に生理量以上のビタミンD投与を必要とするクル病を,遺伝性偽性ビタミンD欠乏性クル病として報告した.患児は大量のビタミンDを投与していると正常に発育し,中断すると低Ca血症およびクル病が再発し,成長発育がビタミンDに依存しているところから,1970年Scriverにより,ビタミンD依存症と名づけられ,これが一般化している.発症は生後2ヵ月から12ヵ月以内で多く,常染色体劣性遺伝であるが,散発例も存在する.
本症においては,血清250HDは正常または高値であるにもかかわらず,1,25(OH)2Dは低値であると考えられていた.筆者らも本症例で,血中1,25(OH)2D値を測定したところ低値であった.したがって,先天的に腎尿細管の1α位水酸化酵素が欠損し,1,25(OH)2D産生が低下または欠如していると考えられている.しかし,直接組織で酵素活性が調べられた報告はない.さらに,Bal-sanは,本症の1αOHD3の必要量が,ビタミンD欠如に比し大きかったことから,1α位水酸化酵素の障害だけではなく,他の部位のビタミンD代謝異常を合併している可能性も示唆している.
1961年Praderは,低Ca血症を伴い,二次性副甲状腺機能亢進を示し,病状がビタミンD欠乏性クル病と酷似しているにもかかわらず,治療に生理量以上のビタミンD投与を必要とするクル病を,遺伝性偽性ビタミンD欠乏性クル病として報告した.患児は大量のビタミンDを投与していると正常に発育し,中断すると低Ca血症およびクル病が再発し,成長発育がビタミンDに依存しているところから,1970年Scriverにより,ビタミンD依存症と名づけられ,これが一般化している.発症は生後2ヵ月から12ヵ月以内で多く,常染色体劣性遺伝であるが,散発例も存在する.
本症においては,血清250HDは正常または高値であるにもかかわらず,1,25(OH)2Dは低値であると考えられていた.筆者らも本症例で,血中1,25(OH)2D値を測定したところ低値であった.したがって,先天的に腎尿細管の1α位水酸化酵素が欠損し,1,25(OH)2D産生が低下または欠如していると考えられている.しかし,直接組織で酵素活性が調べられた報告はない.さらに,Bal-sanは,本症の1αOHD3の必要量が,ビタミンD欠如に比し大きかったことから,1α位水酸化酵素の障害だけではなく,他の部位のビタミンD代謝異常を合併している可能性も示唆している.
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