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文献詳細

雑誌文献

medicina25巻9号

1988年09月発行

文献概要

カラーグラフ 眼と全身病

動脈硬化と眼

著者: 宇山昌延1

所属機関: 1関西医科大学・眼科

ページ範囲:P.1582 - P.1583

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 高血圧が長く持続すると,加齢による変化も加わって,網膜血管に動脈硬化が起こる,前号(25巻8号)に述べたように網膜の動脈は細動脈であるから細動脈硬化であり,主にピアリン変性を起こし,動脈壁の不透明化,管腔の狭窄をみる.眼底検査によって,動脈壁の反射が強くなり(図1),高度になると銅線のようにみえる(銅線動脈).また動脈は細くなる(狭細).動脈も静脈も網膜表層にあり,互に交叉しているが,そこでは共通の外膜で包まれているので,動脈硬化が静脈にも及ぶ.その結果,交叉部で静脈はくびれたり,動脈を弓状に迂回したり,圧迫されてうっ滞をする(図1).これらの異常所見を動静脈交叉現象と呼んでいる.網膜細動脈硬化の確実な所見であって,その程度判定から細動脈硬化の程度を知ることが出来る.細動脈硬化は高血圧の程度と持続期間の積として現れ,Keith-Wagener分類の1群,II群はこのような変化の軽度のものと高度のものにあたる.
 網膜動脈硬化が進行すると,いろいろの合併症が出現し,その結果,視力障害が発生する.動脈に血栓による閉塞症が発生する.網膜中心動脈が眼球へ入る部一すなわち強膜節状板で,血栓を生じて閉塞すると網膜中心動脈閉塞症であり,網膜は血流杜絶のため壊死に陥って全面が乳白色に強く混濁し,中心窩のみが紅色に残ってcherry red spotを示し,網膜動脈は全般にきわめて細くなる(図2).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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