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文献詳細

雑誌文献

medicina26巻1号

1989年01月発行

文献概要

今月の主題 新しい不整脈診療 不整脈誘発源となる特殊な背景

特発性心筋症

著者: 大西哲1 笠貫宏1

所属機関: 1東京女子医科大学付属日本心臓血圧研究所・内科

ページ範囲:P.41 - P.44

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 特発性心筋症(idiopathic cardiomyopathy;ICM)は原因不明の疾患であり,拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy;DCM),肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy;HCM)および拘束型心筋症(restrictive cardiomyopathy;RCM)に分類されるが,前2者が主なものである.HCMのうち左室流出路に閉塞を作るものは肥大型閉塞性心筋症(hypertrophic obstructive car-diomyopathy:HOCM)とよぶ.HCMは心筋の肥大を主徴とし,血行動態上は拡張期コンプライアンスの低下を特徴とする.自覚症状は少ないが,突然死は死因の半数を占める.一方,DCMは左室の拡張を主徴とし,左室機能の低下をきたす.自覚症状も多く心不全による死亡が多いが,突然死の頻度も高い.ICMの突然死の原因として,心室頻拍(ventricular tachycardia;VT)や心室細動(ventricular fibrillation;Vf)などの頻脈性不整脈や房室ブロックなどの徐脈性不整脈が重要である.
 ICMの組織学的特徴は,心筋細胞の肥大と錯綜配列および線維化である.心筋におけるこれらの変化が,リエントリー回路を形成し,心室性期外収縮(VPC)やVTの原因にもなり得る.また刺激伝導系に線維化が及ぶと,種々の伝導障害をきたす.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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