増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
血液検査
41.トロンボテストとヘパプラスチンテスト
著者:
稲葉浩1
藤巻道男1
所属機関:
1東京医科大学・臨床病理学
ページ範囲:P.1726 - P.1727
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トロンボテスト1),ヘパプラスチンテスト2)の両者はプロトロンビン時間(PT)を改良したものであり,血液凝固系において外因系で働く因子,すなわち第II因子(プロトロンビン),第VII因子(プロコンバーチン),第X因子(スチュアート因子)の消長を総合的に測定することができる.これら3つの因子は肝機能障害や経口抗凝固薬の影響を受けやすく,したがって,トロンボテストは経口抗凝固薬のモニタリングに,ヘパプラスチンテストは肝機能検査として有用である.トロンボテストは内因系凝固系を活性化する血小板第3因子(リン脂質)とウシ脳から抽出した組織トロンボプラスチン,さらに内因性凝固因子群の供給源としてウシ吸着血漿の加わった試薬に試料を加え,Quickの一段法にて凝固時間を測定する方法である.ヘパプラスチンテストは原理的には前述のトロンボテストと同様であるが,トロボテストでは組織トロンボプラスチンがウシ脳由来であったのに対し,ヘパプラスチンテストでは家兎脳から抽出されるものを用いており,PIVKA(Protein inducedvitamin K absence or antagonist)の影響を除外できる.これによりヘパプラスチンテストはトロンボテストと併用することで次式に示すPIVKA様物質の量(Inhibitor Index)を検出できる.