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文献詳細

雑誌文献

medicina26巻10号

1989年09月発行

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集

免疫血清検査

54.寒冷凝集試験

著者: 藤岡成徳1

所属機関: 1三井記念病院・血液内科

ページ範囲:P.1756 - P.1757

文献概要

●異常値を示す疾患
 寒冷凝集試験は低温下,通常4℃で赤血球凝集を起こす血清中の寒冷凝集素(cold agglutinin,以下CA)を調べる検査である.CAは赤血球膜抗原と低温で特異的に結合する自己抗体であるが,37℃で解離するので,正常者にみられるわずかな量では症状は起こらない.CA価が異常に高価な状態や反応温度域が高温側にずれると,溶血性貧血,循環障害,Raynaud症状などの臨床所見を呈する.
 CA価の上昇する疾患には一次性のものとして特発性慢性寒冷凝集素症がある.その多くはCAがIgM-κの単クローン性であり,一部がIgM-λ,稀にIgA,IgGなどで起こる.二次性ではリンパ系造血器腫瘍に合併することがあり,単クローン性CAが腫瘍性異常クローン細胞に由来する例も示されている.感染症に続発するものはマイコプラズマ肺炎が最も有名であり,CA価上昇が補助診断法として役立っている.EBウイルス感染による伝染性単核症でもCA価が異常となる.感染症によるCAは一般に多クローン性である.表1にCA価が上昇する疾患を示した1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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