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増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集 免疫血清検査
56.トキソプラズマ抗体
著者: 亀井喜世子1
所属機関: 1帝京大学医学部・寄生虫学教室
ページ範囲:P.1760 - P.1761
文献購入ページに移動 現在,日本の検査室で行われているトキソプラズマ抗体の検査法には,赤血球凝集反応,ラテックス凝集反応,螢光抗体法などがある.しかしこれらの方法は,厚生省の認める体外診断用医薬品を用いて検査するよう指導されているので,以前に比べると検査方法が限定され,検査結果相互の比較が可能になってきた.研究室レベルでは,この他,色薬試験,ELISAなどが行われている.
トキソプラズマは不顕性感染が多く,最近は日和見感染を起こす原因の一つとして注目されているが,抗体価と現疾患を結びつけることが困難な場合が少なくない.抗体の存在は,一般的には体内に抗原性物質があることを意味するが,感染が起こっても反応が陽性になるまで時間がかかり,病態と必ずしも並行するものではない.したがってトキソプラズマ抗体の測定は補助診断にすぎず,抗体価の意義付けに苦しむところであるが,1)色素試験で高値を示す,2)ペア血清の抗体価が4倍上昇あるいは下降する,というようなことが見られると,ほぼトキソプラズマ症を疑って良い.
トキソプラズマは不顕性感染が多く,最近は日和見感染を起こす原因の一つとして注目されているが,抗体価と現疾患を結びつけることが困難な場合が少なくない.抗体の存在は,一般的には体内に抗原性物質があることを意味するが,感染が起こっても反応が陽性になるまで時間がかかり,病態と必ずしも並行するものではない.したがってトキソプラズマ抗体の測定は補助診断にすぎず,抗体価の意義付けに苦しむところであるが,1)色素試験で高値を示す,2)ペア血清の抗体価が4倍上昇あるいは下降する,というようなことが見られると,ほぼトキソプラズマ症を疑って良い.
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