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文献詳細

雑誌文献

medicina26巻10号

1989年09月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集 血液化学検査

117.ナトリウム(Na)

著者: 高野朋子1 黒川清2

所属機関: 1東京大学医学部・第4内科 2東京大学医学部第1内科

ページ範囲:P.1906 - P.1908

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●異常値を示す疾患
 血清Naの正常値は135〜150mEq/lで,134mEq/l以下を低Na血症,151mEql以上を高Na血症と定義している.高Na,低Na血症はNa代謝異常と誤認されていることが多いが,実は水代謝異常であるということをまず銘記して頂きたい.細胞膜は水を自由に透過させ,細胞内外の浸透圧較差にしたがって水は移動し,細胞内外の浸透圧は等しく保たれている.細胞外液の主な溶質は電解質であり,Naは細胞外液の陽イオンの大部分を占める.したがって,細胞外液の浸透圧は細胞外液のNa濃度の約2倍となる.つまり血清Naの測定とは,原則として浸透圧の測定のかわりと考えられる.したがって,血清Naの異常は細胞内外液の浸透圧異常として捉えられるべきである.
 低Na血症は比較的頻度が高く,入院患者の約2.5%にみられる.正常の場合,腎は最大60mOsm/kg・H2O(すなわち糸球体で濾過された原尿の5倍)まで尿を希釈できる.皮質集合管に到達する尿量は約25ml/minとなっており,ADHが働かないためそれ以上の水の再吸収は起こらず,尿量は25ml/minとなる.この25mlのうち5mlは等張尿であり20mlは自由水であると考えられるので,正常腎は最大希釈時,約1.2l/時の自由水を排出することができることになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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