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文献詳細

雑誌文献

medicina26巻10号

1989年09月発行

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集

血液化学検査

130.血清膵リパーゼ

著者: 宇治義則1 岡部紘明1

所属機関: 1熊本大学医学部・臨床検査医学

ページ範囲:P.1944 - P.1945

文献概要

●異常値を示す疾患(表1)
 膵リパーゼ(EC 3.1.1.3,Triacylglycerol Lipase:LP)は膵のacinar細胞で生成され,消化酵素として外分泌され,食物中のトリグリセリド(TG)を水解してジグリセリド(DG),モノグリセリド(MG)とし,腸管からの吸収を助ける.消化のためには唾液,舌腺,胃,十二指腸,小腸,大腸などのLPも働く.これらの各臓器のLPは,膵LPとは至適pH,分子量,熱安定性などが異なる.血清中のLPのほとんどは膵由来とされ,炎症などで血中に漏出してくる.臓器特異性が高く,膵疾患診断の指標として重要な検査であるが,測定方法が煩雑なため,現在まで膵疾患の検査としてはアミラーゼが主に用いられてきた.しかし,アミラーゼは膵臓,唾液線と2つの主要産生臓器をもち,特異性に欠ける.LP測定法として近年,安定した測定法が開発されつつあり,自動分析機への適用も可能で,今後一層の普及が期待されている.
 異常値を認める疾患として,急性膵炎ではその70%以上にLP活性の上昇が認められ,LP活性高値はアミラーゼ活性高値よりも長く持続する.慢性膵炎,膵癌では臨床経過のどの時点で測定したかによって高値を示す場合と低値を示す場合があり,膵臓機能の荒廃が進んだ慢性膵炎や膵線維症ではむしろLP活性は低値を示す.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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