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文献詳細

雑誌文献

medicina26巻11号

1989年10月発行

文献概要

今月の主題 水・電解質と酸塩基平衡 水・電解質異常のベッドサイドアプローチ

高Na血症と低Na血症

著者: 石田尚志1 荻本剛一1 深沢学1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学・第1内科

ページ範囲:P.2162 - P.2165

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 高Na血症ならびに低Na血症は,定義上血清Naが正常範囲をそれぞれ外れた場合を意味するが,正常値の設定が各施設で異なるため具体的な数字を上げることは難しい.ちなみに筆者らの病院で,ある日に外来と入院患者について測定された血清Naは図のように分布していた.正常値は138〜147mEq/Lと設定されているので,この基準でみれば147mEq/L以上の高Na血症は全体の4%となり,138mEq/L以下の低Na血症は14%であった.本来は各施設の正常値を基準にすべきであるが,一般に正常値は135〜150mEq/Lと考えておくのが妥当のようである.また筆者らのデータにも見られるように,頻度の上からは低Na血症のほうがはるかに多い.高Na血症と低Na血症をひとつの疾患として把える場合に血清Naの測定値がなければ診断はつかないが,すべての疾患と同様に病歴の聴取,症候の把握,ほかの検査所見が診断と治療上必須となる.病歴の聴取とほかの検査所見は,原因となる疾患あるいは状態が多彩であるため,それぞれを意識したきめ細かさが要求される.高Na血症の症候は落ち着きのない状態,被刺激性の亢進,脱力,筋肉の痙攣,反射亢進であり,進行すれば全身の痙攣,昏睡に陥り死に至る.一方,低Na血症では無力状態,指南力低下,筋肉の痙攣,食思不振,興奮状態,知覚異常,反射低下,病的反射,全身痙攣などが上げられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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