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文献詳細

雑誌文献

medicina26巻11号

1989年10月発行

文献概要

検査

検査データをどう読むか

著者: 岡嶋研二1 宇治義則1 岡部紘明1

所属機関: 1熊本大学医学部・臨床検査医学教室

ページ範囲:P.2294 - P.2297

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◇出血傾向を示す症例の検査の進め方
 血液は血管内では凝固しないように,しかし血管外では速やかに凝固するように巧みに調節されている.実際に,生体内では微小な血管内皮の損傷部位に修復のために微小血栓が形成されるが,速やかに溶解されるという現象が繰り返され,血液循環の恒常性が維持されている.この動的平衡の破綻が出血傾向および血栓形成を招来すると考えられる.出血傾向の発現は,1)血管壁の脆弱性,2)血小板数の減少およびその機能異常,3)血液凝固因子の活性低下,4)線溶活性の亢進および,5)凝固線溶阻止因子の異常のいずれか,またはこれらの組み合わせにより生じる.まず出血傾向または凝固検査所見の異常を示す症例について,1)臨床的に出血傾向を認めるか否か,2)APTT,3)PT,4)出血時間および,5)血小板数,の5点についてまずスクリーニングとして検索し,これらの所見に基づいてさらに診断のための詳細な検索をすすめる.表2にこのスクリーニングによる出血傾向もしくは凝固異常の鑑別を要約する.臨床的な出血傾向の有無はその種類また発症の時期を確認することが重要である.出血傾向のうち,いわゆる紫斑(purpura)は血小板・血管系の異常で認められることが多く,点状出血や斑状出血また皮膚の外傷からの止血困難は血小板・血管系の異常に基づく場合が多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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