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カラーグラフ 非観血的検査法による循環器疾患の総合診断
非脱出性右房粘液腫の1例
著者: 大木崇1 福田信夫1 細井憲三1 河野智彦1 青山好美1 森博愛1
所属機関: 1徳島大学医学部・第2内科
ページ範囲:P.2626 - P.2634
文献購入ページに移動心尖部(Apex)と第3肋間胸骨左縁(3L)における心音図および頸静脈波曲線(Jug.)の同時記録(図2)において,異常所見は次の4点である.①I音の減弱,②II音の病的分裂,③3Lの拡張早期過剰心音,および④頸静脈波曲線におけるa波の増高,v波の出現遅延とy谷の著明な浅減化.
I音(I)の減弱は,P-Q時間(0.21秒)の延長によるためである.II音分裂間隔(IIA-IIP)は約60msecと幅広く,その原因として完全右脚ブロックによる病的分裂が考えられる.3Lに限局する拡張早期過剰心音(Ex)は,その出現がII音肺動脈弁成分(IIP)より約40〜45msec遅れており,かつ頸静脈波曲線v波の頂点から予測される三尖弁開放時点よりも明らかに早期であることから,三尖弁開放音とは考え難く,心外性あるいはIIPの副成分の可能性を考慮すべきである.以上のように,これらの心音図異常はいずれも本例の病態を診断する際の直接的所見とはいえない.
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