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文献詳細

雑誌文献

medicina26巻2号

1989年02月発行

文献概要

今月の主題 内科医のための癌治療のオリエンテーション 癌治療のためのオリエンテーション

免疫療法は有効なのか

著者: 近藤誠1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部・放射線科

ページ範囲:P.232 - P.234

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 免疫療法が有効かと問われれば,否と答えるしかない.どの免疫療法も有効性は証明されていない.議論の前に,日本での免疫療法の現状を一瞥しよう.
 昭和62年の推定売上げ高をみると,クレスチン(PSK)が720億円で全医薬品中第2位,ピシバニール(360億円),レンチナン(110億円),フエロン(Interferon β;INF-β)が(70億円)と,いわゆる免疫調整剤が上位を占めている.後述のように免疫療法で1人余計に治癒したかどうかも分かっていないのであるが,日本の癌治療費の10分の1以上が使われているのである.確実に治癒患者を量産している放射線治療の総額が60億円でしかないのと比べると,奇異というより不当である.アメリカでは,これらの薬は認可されていない.わずかに,INF-αが毛髪球性白血病に限って認可されているに過ぎない.2,400頁からなる癌の教科書で,クレスチン,ピシバニールは,わずか半頁しか紹介されていない1).一方,日本の教科書,専門雑誌を読むと,免疫療法は行わなければいけないかのような印象を受ける.このギャップの原因を考えねばならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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