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文献詳細

雑誌文献

medicina26巻3号

1989年03月発行

文献概要

今月の主題 高脂血症と動脈硬化 高脂血症の治療

治療総論—生活指導,食事療法,薬物療法の開始,選択基準

著者: 秦葭哉1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部・内科

ページ範囲:P.436 - P.440

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●高脂血症の治療方針
 高脂血症の治療は,肥満や糖尿病,高尿酸血症のような代謝疾患ならびに高血圧,狭心症,心筋梗塞,一過性脳虚血発作,脳梗塞などの動脈硬化性疾患の治療と同様に,薬物療法だけが治療ではなくて,生活の注意,食事療法がまず実施されなければならない.また,かりに薬物療法が開始されても,その基礎療法としてこれらの療法が常時平行実施されていなければならない.現在のところ,ある薬物療法を受けていれば,生活は思い通りにし,食事は食べ放題にできるというような薬剤は存在せず,どんなに効力のある薬物も,生活の注意や食事療法なしには実効が上がらない.
 したがって,高脂血症の治療は,生活指導,食事療法,薬物療法,場合によっては特殊療法が,時間的には順次上乗せ的に,断面的には重層的に実施されていなければならない.しかし,高脂血症に限らず,疾患の治療論は,方法別に列記されていて,どの方法を,いつから,どのように適用していくかについての全体像は,個人的経験を通じての習得にゆだねられているのが実状といえよう.実際に治療の勘やコツは,個人的経験の積み重ねによらなければ,得ることのできないものという面も存在するが,それだけでは疾患の治療論は,いつまでも個人的経験の域を出ず,学問的領域として独立しえず,進歩もおぼつかない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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