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今月の主題 輸血の実際と血液製剤 血液製剤の特徴と適応
全血輸血と成分輸血
著者: 上平憲1
所属機関: 1長崎大学医学部付属病院・輸血部
ページ範囲:P.564 - P.565
文献購入ページに移動 かつては,赤血球のみを必要としていたにもかかわらず,全血液成分を含む「全血輸血」が行われていた.一方,最近では血液成分分離装置の進歩もあり,輸血副作用は最小限に抑えて輸血効果は最大限にしようとする医療上の目的と血液の有効利用という供給上の両面から,患者に不足している成分のみを補う「成分輸血」が主流となった.輸血は,一種の同種移植であり,また一方でヒト由来の医薬品製剤のため生産量に限度がある点にも十分注意を払うべきである.
表に現在実施可能な全血および成分輸血の種類を挙げた.この中で,アルブミン・凝固因子製剤などの一部の血漿蛋白分画製剤(blood derivative)を除けば,単一成分のみから構成される真の単一「成分製剤」はまだまだ少ない.したがって,現実的には製剤化のための費用・労力などの経済的事情と使用者側の理解不足なども加わり,不完全・中途半端な成分輸血の時代といえよう.なかでも,血球成分輸血については遅れが著しく,術後紅皮症という重篤な副作用を起こしてしまったことは憂うべき実情である.
表に現在実施可能な全血および成分輸血の種類を挙げた.この中で,アルブミン・凝固因子製剤などの一部の血漿蛋白分画製剤(blood derivative)を除けば,単一成分のみから構成される真の単一「成分製剤」はまだまだ少ない.したがって,現実的には製剤化のための費用・労力などの経済的事情と使用者側の理解不足なども加わり,不完全・中途半端な成分輸血の時代といえよう.なかでも,血球成分輸血については遅れが著しく,術後紅皮症という重篤な副作用を起こしてしまったことは憂うべき実情である.
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