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文献詳細

雑誌文献

medicina26巻6号

1989年06月発行

今月の主題 糖尿病マネージメントUpdate

糖尿病治療の実際

食事療法—食品交換表の効果的な活用と問題点

著者: 土井邦紘1

所属機関: 1神戸大学医学部附属病院・代謝機能疾患治療部

ページ範囲:P.942 - P.948

文献概要

 あらゆる疾病の治療法の基本は食事にあることは誰も異論のないところであろう.とくに慢性疾患においては食事療法が最も重視されねばならない治療法である.にもかかわらず,現在は薬物先行の治療法が取り入れられている.これはどこに問題があるのであろうか.時々自分自身の診療を通して考えさせられることがある.特に最近の医療機器の進歩は目覚ましく,それなりに疾病の治療に役立っているとは思うものの,多額の費用と時間を費した割に,これを治療として還元される部分が少ないところに驚かされている,糖尿病を含めた多くの成人病は,ある程度食事療法で治療は可能である.そればかりか,食事療法で成人病を予防することも可能であり,このことは一般に広く知られている.よく"死ぬまで酒が飲みたい"とか,"甘い物に目がない"とか言われるが,この言葉はいかに人間は食物の魅力に弱いかを示したものである.長年糖尿病生活を送ってきた人が時々"腹いっぱい食べてみたい"という衝動にかられることがあり,夢にまでみるそうである。これほど規制された食事療法を厳守することは難しいことなのである.しかしながら,最近,幸か不幸か糖尿病者数が増え,同じ仲間に出会う機会が少なくなくなってきたこともあって,以前のように糖尿病であることを隠しだてする必要がなくなった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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