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カラーグラフ 非観血的検査法による循環器疾患の総合診断
Sail soundと特異な三尖弁逆流を認めたエプスタイン奇形の1例
著者: 福田信夫1 大木崇1 河野智彦1 小川聡1 細井憲三1 森博愛1
所属機関: 1徳島大学医学部・第2内科
ページ範囲:P.1386 - P.1393
文献購入ページに移動1)心音図(図1)
心尖部(Apex)と第3肋間胸骨左縁(3L)の同時記録心音図において,診断上のポイントとなるのは次の5点である.①3Lにおける強大な収縮早期過剰心音と拡張中期過剰心音,②II音の病的分裂と肺動脈弁成分(IIP)の減弱,③右心性IV音,④Apexと3Lの全収縮期雑音,⑤Apexの収縮中期クリック.
3Lにおける収縮早期過剰心音は,小さな第1成分(T1)と強大な第2成分(T2)からなり,心尖部のI音(IM)に比べて著しい遅延(IM-T2=100msec)を示す.また三尖弁エコーとの同時記録によれば,ビーム方向の違いによって両成分に一致した三尖弁閉鎖が記録できる(図2).したがって,これらの心音は三尖弁閉鎖に関連して生じたものと解釈できるが,本心音あるいは三尖弁閉鎖の異常な遅延は右脚ブロックのみでは説明しえない.
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