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文献詳細

雑誌文献

medicina26巻9号

1989年09月発行

今月の主題 循環器薬の使い方

心筋症

肥大型心筋症治療薬の使い万

著者: 梶山公則1 西宏文1 古賀義則1

所属機関: 1久留米大学医学部・第3内科

ページ範囲:P.1546 - P.1547

文献概要

●病態
 肥大型心筋症は原因不明な心筋の異常肥大をきたす疾患で,このために心室の膨らみやすさ(compliance)が低下し,左室への血液の流入障害が起こる.また約1/3の症例では心室中隔の異常肥大により左室流出路が狭窄され,この有無により,閉塞性肥大型心筋症(HOCM)と非閉塞性肥大型心筋症(HNCM)に分類される.
 そしてこの左室compliance障害,左室流出路狭窄により左室拡張末期圧,左心房圧が上昇し,労作時の動悸,呼吸困難が生じるが,本症では一般に左心収縮能は正常に保たれており,高度な左心不全に陥ることは少ない.しかし,左房負荷が進行するとしばしば心房細動をきたし心房収縮による左室流入が失われ,このためさらに左心機能が低下するとつう悪循環に陥り,重篤な左心不全症状をきたす.また心房細動例では塞栓症が高率に発生し,脳梗塞で死亡する例も少なくない.さらに本症では,心筋の異常肥大と心筋内細小動脈病変などにより心筋酸素需要供給バランスが障害されて心筋虚血,胸痛をきたすことが少なくなく,これはまた心筋病変の進行とも関連してつることが推測されている.失神も本症で高頻度にみられる症状であるが,流出路狭窄とは必ずしも関係なく,その機序は不明である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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