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文献詳細

雑誌文献

medicina27巻1号

1990年01月発行

文献概要

今月の主題 再灌流療法時代の急性心筋梗塞診療 再灌流療法

血栓溶解薬(ウロキナーゼとt-PA)

著者: 上松瀬勝男1 松田正1 梶原長雄1

所属機関: 1日本大学駿河台病院・循環器科

ページ範囲:P.58 - P.59

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 urokinase(UK)はplasminogenの直接的なactivatorであるが,血栓に対し親和性がないことから,血栓を溶解するためには,循環血液中の線溶能の充進が必要である.投与されたUKはplasminogenを活性化させplasminを生成するが,血中に存在するα2 plasmin inhibitor(α2PI)により失活され,血栓を溶解するに至らない.このα2PIを中和するほどのUKの投与により,すなわち,全身の線溶能の充進があってはじめて血栓は溶解される.大量のUKはfibrinogen,fibrin,種々の凝固因子を分解し,出血を生じるとされている.
 一方,tissue plasminogen activator(t-PA)は血栓に親和性があることから血栓に直接作用し,血栓形成過程で取り込まれたplasminogenをplasminにすることにより血栓を溶解するとされている.したがって血中のfibrinなどの凝固因子もさほど分解させずに,それゆえ,静脈内投与でも血栓の溶解が容易とされている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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