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増刊号 内科エマージェンシーと救急手技 疾患からみた内科エマージェンシー 腎疾患・電解質異常
87.高カリウム血症
著者: 和田孝雄1
所属機関: 1稲城市立病院
ページ範囲:P.1966 - P.1967
文献購入ページに移動高K血症の原因疾患としては,摂取量の増加や尿排泄量の減少に加えて,細胞内液から細胞外液へのKの移行によるものがある(表1).
第1の摂取量の増加によるものは,それ単独ではあまり高度な高K血症を招くことはなく,他の2つのカテゴリーによるものが加わると,にわかに問題となる.この種の原因として最もよく知られているのは,保存血輸血であろう.健康人では血清K濃度の上昇はわずかであり問題とはならないが,腎不全患者や高度の脱水症によるショックでは腎からのK排泄を急に増加し得ないために危険とされている.ただし保存血輸血の後のある一定時期を過ぎるとKは赤血球の中に戻り,かえって低K血症を生ずる.したがって,高K血症を生じるか否かは,投与量,投与速度との兼ね合いで決まることになる.また幼児の場合には体が小さいためK容量が少なく,ペニシリンのK塩をワンショットで静脈内に投与したり,保存血による大量の交換輸血を行うことによって心停止をきたした報告がある.またKClなどの注射液を希釈せずに静脈内に投与したことによる心停止は,成人でもかなり多い.
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