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今月の主題 ベッドサイドの痴呆学 治せる痴呆を見逃さないために
精神科的疾患による痴呆
著者: 黒田重利1
所属機関: 1岡山大学医学部・精神神経科
ページ範囲:P.2096 - P.2098
文献購入ページに移動 「精神科的疾患による痴呆」は現在は老人のうつ病による仮性痴呆を意味していることが多いが,精神医学の教科書の中では第1番にGanser症候群があげられていることが多い.これは歴史的に概念の変遷があったからであり,仮性痴呆(pseudodementia,Pseudodemenz)はかつてはヒステリー性の痴呆様状態を指していた.ところが,Kiloh1)が1961年に仮性痴呆はGanser症候群以外にも,うつ病,躁病,精神分裂病などでも認められ,とくに老人のうつ病にみられやすいと強調した.最近の仮性痴呆の概念は,Kiloh1),Wells2)の定義にあるように痴呆によく似た状態をいい,とくに老人のうつ病の際の痴呆様症状を指していることが多いようで,本稿では,老人のうつ病性仮性痴呆を中心に述べ,Ganser症候群についてもふれる.
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