icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina27巻11号

1990年10月発行

文献概要

今月の主題 ベッドサイドの痴呆学 痴呆患者のケアと社会的対策

痴呆老人への接し方

著者: 森松光紀1

所属機関: 1山口大学医学部・神経内科

ページ範囲:P.2152 - P.2153

文献購入ページに移動
 痴呆老人への接し方には,①医師,②ナースおよびパラメディカル要員,③家族,の立場はあるが,基本的な考え方は共通する.それは,痴呆という人格崩壊状態にある患者に対しても,同じ人間としての尊厳を認めるという倫理感である.
 まず最初に,大部分の痴呆は治らないことを理解すべきである.したがって,患者に対してはケアが中心になり,薬物治療はあくまでも副次的である.ケアの基本的理念を示すと,
 1)患者によい生活環境を提供し,できるだけ生活の質を低下させない.
 2)記憶や高次大脳機能は早期から失われるが,情動機能はかなり長く保たれる.したがって,情動面での保護・支持が大切である.
 3)患者への再教育,説得,叱責は無意味であり,受容的・支持的に対応する.
 4)身体的条件の悪化は痴呆を増強し,一方,その改善は精神機能にもよい影響を与える.
 5)介護家族への配慮が不可欠である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?