文献詳細
文献概要
今月の主題 STROKE—脳卒中診療のポイント 脳卒中の治療
頸動脈内膜摘除術とその適応
著者: 高木康行1 高木誠1
所属機関: 1東京都済生会中央病院・神経内科
ページ範囲:P.2476 - P.2478
文献購入ページに移動 1950年代の半ばに,脳血流不全に対する頸動脈再建術の初めての成功例が報告されて以来,頸動脈内膜摘除術Carotid endarterectomy(CEA)は,頭蓋外の頸動脈病変に対する外科治療として,主として欧米において急速に普及してきた.米国では1971年から1985年の間に,年間のCEAの施行例は15,000例から,103,000例にまでも増加しているが1),その理由としてCEAが無症候性病変や軽度の頸動脈狭窄に対しても無差別に行われる傾向があったことが指摘されている.しかし,最近になりCEAに対する再評価の機運が高まり,CEAの適応がより厳密に見直されるようになった結果,米国におけるCEAの施行例は1987年には81,000例にまで減少している2).
これに対しわが国では,1987年の年間の総CEA数は600件程度であろうと推定されている3).このように米国と日本におけるCEAの件数には極端な差があるが,これにはわが国ではTIAや脳梗塞の責任病変として,頭蓋外の頸動脈病変の占める割合が低いこと,頸動脈病変に対する非侵襲的検査法の普及率が低いことなどが関与しているものと思われる.しかし近年,わが国においても生活の欧米化から頸動脈病変の頻度が増加しつつあることが指摘されており,今後CEAの意義は次第に高まるものと考えられる.
これに対しわが国では,1987年の年間の総CEA数は600件程度であろうと推定されている3).このように米国と日本におけるCEAの件数には極端な差があるが,これにはわが国ではTIAや脳梗塞の責任病変として,頭蓋外の頸動脈病変の占める割合が低いこと,頸動脈病変に対する非侵襲的検査法の普及率が低いことなどが関与しているものと思われる.しかし近年,わが国においても生活の欧米化から頸動脈病変の頻度が増加しつつあることが指摘されており,今後CEAの意義は次第に高まるものと考えられる.
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