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文献詳細

雑誌文献

medicina27巻13号

1990年12月発行

今月の主題 STROKE—脳卒中診療のポイント

特殊な脳卒中

Binswanger病

著者: 岩本俊彦1

所属機関: 1東京医科大学・老年科

ページ範囲:P.2488 - P.2490

文献概要

●概念
 進行する痴呆と片麻痺などの局所神経症状を呈する8症例を報告(1894年)したBinswangerは,その特徴的な病理所見に基づいて,梅毒による進行麻痺から分離した.すなわち大脳の白質には著明な萎縮があるものの,皮質は保たれ,脳動脈に高度のアテローム硬化を認めたというもので,彼は痴呆が白質障害に由来するとし,脳動脈硬化をその原因と考えた.その後Alzheimerらがこれに着目してBinswanger病と名づけたが,この疾患の定義や診断基準が明確でなかったため,疾患単位としての位置づけをめぐって混乱を招いた.
 以来病理学的に大脳白質のびまん性脱髄を共通の所見として,いくつかの名称で呼ばれた1).その変化は大脳白質に選択的にみられ,U-fiberや大脳皮質にはないか,あっても軽いのが特徴とされる.髄鞘は消失(オリゴデンドログリアの機能不全)し,淡明化した部位ではグリア反応と軸索の減少を伴い,一般にこれらは循環障害による不全軟化巣と考えられている.また多くは大脳深部白質や基底核にラクネの多発(état lacunaire)がみられ,これらの変化に時間が加われば脳室拡大や脳梁萎縮をきたす.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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