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文献詳細

雑誌文献

medicina27巻13号

1990年12月発行

文献概要

カラーグラフ Oncology Round・14

腹膜偽粘液腫

著者: 森永正二郎1 金田智2 高橋幸則3 片山勲4

所属機関: 1東京都済生会中央病院・病理科 2東京都済生会中央病院・放射線科 3東京都済生会中央病院・内科 4埼玉医科大学・病理学

ページ範囲:P.2539 - P.2542

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 腹膜偽粘液腫は,ゼリー状の粘液性腹水が大量に貯留する稀な臨床病態である.病理学的には粘液産生源は単一ではなく,卵巣や虫垂などの粘液腺癌がよく知られている.その他,稀ながら膵,結腸,尿膜管,子宮体部,総胆管などの腺癌に基づくものが報告されている.原発不明例も少なくない.粘液産生細胞が大量の粘液とともに腹腔内に放出されることによって発生すると考えられているが,きわめて緩徐な増殖を示し,腹腔外への浸潤や遠隔転移を起こさない点で,通常の癌性腹膜症とは異なっている.しかし,腹腔内に広範に播種し,完全摘除が不可能なために,やがてイレウスをひき起こし,患者を死に至らしめるというコントロールの困難な病態である.
 以前の診断法は開腹手術に限られていたが,近年CTや超音波などの画像診断法により,ある程度推定することができるようになった.腹水の画像診断上,是非頭に入れておきたい病態である.ここにその1例を紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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