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文献詳細

雑誌文献

medicina27巻2号

1990年02月発行

文献概要

今月の主題 消化器診療のcontroversy

Editorial:消化器診療のcontroversy

著者: 上野文昭1

所属機関: 1東海大学附属大磯病院・内科

ページ範囲:P.192 - P.194

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●「臨床的有用性」とは何を意味するか?
 A氏は40歳になったのを機会に成人病健診を受けてみたところ,血清コレステロール値が320mg/dlと上昇しているのを指摘された.主治医のすすめでB薬を服用したところ,数カ月後,コレステロールは正常値に戻った.この場合B薬は,はたして「臨床的に有用」と言えるだろうか?
 この程度の治療効果を直ちに「臨床的有用性」に結びつける安易な考え方が,わが国ではあまりにも多く見受けられる.当然のことながら,コレステロールが下がり,心血管系の合併症を予防でき,なおかつその効果を相殺するような副作用が発現することなく,ひいては寿命が延びることが期待されなければならない.また治療を続けることの手間暇や,苦痛や,費用も納得できる範囲でなければならない.すなわち医師のみが納得できることではなく,患者自身に利益がもたらされることをもって「臨床的有用性」としなければならない.欧米ではこの辺の考え方が明確である.たとえば最近の非A非B型慢性肝炎に対するインターフェロン療法の論文1)でも,インターフェロン投与がaminotransferase値に及ぼす影響を検討することが目的であると明記してあり,決して検査データ上の改善を「臨床的有用性」に短絡していない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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