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文献詳細

雑誌文献

medicina27巻2号

1990年02月発行

文献概要

今月の主題 消化器診療のcontroversy 胃・十二指腸疾患

胃・十二指腸潰瘍の多剤併用療法は単独療法に優るか?

著者: 岡崎幸紀1

所属機関: 1山口県厚生連周東総合病院

ページ範囲:P.212 - P.213

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●多剤併用療法のはじまり
 消化性潰瘍の治療としての多剤併用の根拠は,SunとShayにより提唱された潰瘍の成因論として有名な“天秤説”にあると思われる1).潰瘍の発生が攻撃因子の増強,防御因子の低下とするこの説に順じて考えれば,治療は攻撃因子の抑制,防御因子の増強がもっとも効果的となる.
 “天秤説”の発表された1960年代の半ば頃から,わが国では各種の抗潰瘍薬が次々と開発され,また,わが国の医療保険制度から薬剤の投与にほとんど制限のなかったことから,潰瘍患者に多数の薬剤が投与される結果となった.一剤よりも多剤の方が効果があるように思われがちであるが,抗潰瘍剤の多剤併用が,単独投与より効果的であったという明確な資料は残っていない.立証するような厳密な臨床試験が行われていない.そしてヒスタミン受容体拮抗薬(以下,H2ブロッカー)の登場により多剤併用療法はその評価を失ってしまった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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