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今月の主題 消化器診療のcontroversy 肝疾患
非A非B型肝炎の抗ウイルス療法は可能か?
著者: 小俣政男1
所属機関: 1千葉大学医学部・第1内科
ページ範囲:P.270 - P.271
文献購入ページに移動●診断法の概説
ウイルスの存在なしに非A非B型肝炎がどのように診断されていたかと言うと,基本的には既知のA型肝炎ウイルス,B型肝炎ウイルス感染の否定,あるいは他のアルコール,自己免疫疾患の除外などにより行ってきた.
しかしながら,抗HCV(Hepatitis C Virus)抗体の測定により,C型肝炎ウイルス感染の検索が可能となり,本邦におけるこのアッセイ系による成績もほぼ出揃い,この抗HCV抗体の意義も明らかになりつつある.学会発表での成績を自験例も含めてまとめると表1のごとくなる.急性および慢性の非A非B型肝炎といわれる肝障害のおおむね2/3から4/5の症例で,この抗HCV抗体が陽性となる.われわれの自験200例余りの肝細胞癌での抗HCV抗体陽性率は60%であった.きわだった対照は日本赤十字社の献血者での陽性頻度であり,わずかに1から2%程度であるということである.これがこの抗体が感染の既往を表すものではなく,ウイルスキャリアーを同定していると考えられる根拠である.
ウイルスの存在なしに非A非B型肝炎がどのように診断されていたかと言うと,基本的には既知のA型肝炎ウイルス,B型肝炎ウイルス感染の否定,あるいは他のアルコール,自己免疫疾患の除外などにより行ってきた.
しかしながら,抗HCV(Hepatitis C Virus)抗体の測定により,C型肝炎ウイルス感染の検索が可能となり,本邦におけるこのアッセイ系による成績もほぼ出揃い,この抗HCV抗体の意義も明らかになりつつある.学会発表での成績を自験例も含めてまとめると表1のごとくなる.急性および慢性の非A非B型肝炎といわれる肝障害のおおむね2/3から4/5の症例で,この抗HCV抗体が陽性となる.われわれの自験200例余りの肝細胞癌での抗HCV抗体陽性率は60%であった.きわだった対照は日本赤十字社の献血者での陽性頻度であり,わずかに1から2%程度であるということである.これがこの抗体が感染の既往を表すものではなく,ウイルスキャリアーを同定していると考えられる根拠である.
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