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文献詳細

雑誌文献

medicina27巻2号

1990年02月発行

文献概要

カラーグラフ 冠動脈造影所見と組織像の対比・12

冠動脈内血栓溶解療法(PTCR)

著者: 堀江俊伸1

所属機関: 1東京女子医科大学・循環器内科

ページ範囲:P.292 - P.294

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●冠動脈内血栓溶解療法により一時再開通を認めた例
 症例 52歳,男
 現病歴 心筋梗塞発症3年前頃から労作時に狭心症の発作があり,近くの病院へ入院した.冠動脈造影では右冠動脈(seg 2)に50%未満の狭窄,前下行枝(seg7)に75%狭窄を認めた.その後も労作時には時々狭心症発作があったので約1年後に当院へ転院した.運動負荷試験は陽性であり,冠動脈造影では前下行枝の狭窄は不変であったが,右冠動脈は50%狭窄を示していた(図1A).以後2年間,外来通院加療中であり,経過は比較的良好であった.10月31日午後2時頃,軽く200mくらい走ったあとに胸痛発作が出現した.しばらく安静にしていたが,胸痛がおさまらないため救急車にて来院した.心電図上ではII, III,aVFにおいてST上昇を認め,急性下壁梗塞発症3時間後のため,ただちに冠動脈造影を施行した.冠動脈造影上では右冠動脈に完全閉塞を認めた(図1B).冠動脈内血栓融解療法の適応と考えられ,ウロキナーゼ(UK)24万単位を直接冠動脈内に注入した.一時再開通が得られたが,冠動脈造影上では広範な冠動脈壁の不整と残存狭窄を認めた(図1C).その後再閉塞し,血圧も低下したため緊急冠動脈バイパス手術を施行した.心筋梗塞発症7時間30分後に再灌流が得られたが,回復は思わしくなく,梗塞発症34時間後に永眠した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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