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文献詳細

雑誌文献

medicina27巻3号

1990年03月発行

文献概要

今月の主題 臨床医のための免疫学 免疫機構の生物学

マスト細胞と好塩基球

著者: 山口正雄1 奥平博一1

所属機関: 1東京大学医学部・物療内科

ページ範囲:P.388 - P.389

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 アレルギー反応は,CoombsおよびGellにより,作用機序に基づき4型に分類されている.このうち1型は,抗原とレアギン(IgE抗体)との反応により惹起されるアレルギー反応の総称であり,関連疾患としては,気管支喘息,アレルギー性鼻炎,薄麻疹,アトピー性皮膚炎,食餌アレルギー,薬剤アレルギーが挙げられる.マスト細胞(肥満細胞)と好塩基球は,主にこの1型反応に関与することが知られている.ここではまず,両細胞の共通点を簡略に述べたのち,個別に最近の知見も含めて触れてみたい.
 マスト細胞と好塩基球は,体内分布は異なるが,由来はともに造血幹細胞である.細胞質にはトルイジンブルー染色で赤紫色に染まる(異染性=metachromatic)好塩基性顆粒が豊富で,その中にヒスタミンなど多種のchemical mediatorを含有する.一方,細胞膜にはIgE抗体のFc regionに対する高親和性receptor(FcεR)があり,体内では膜表面にIgE抗体を結合させた状態で存在する.侵入した抗原が複数のIgE抗体を橋渡しする形で結合(cross-linkage)すると,細胞膜が刺激されてCa2+が細胞内に流入し,顆粒内容が細胞外へ放出される.mediatorsは,周囲の血管内皮細胞を刺激して透過性を増強し,抗体や補体などの液性因子を局所に動員するとともに,好酸球.好中球・血小板などの細胞成分にも作用し,反応を複雑化させていく.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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