文献詳細
文献概要
今月の主題 臨床医のための免疫学 免疫と臨床
蕁麻疹
著者: 大塚智博1 牧野荘平1
所属機関: 1獨協医科大学・アレルギー内科
ページ範囲:P.462 - P.466
文献購入ページに移動 蕁麻疹Urticariaは,全人口の10〜20%が経験し,臨床的に局所皮膚における掻痒,紅斑そして血管透過性亢進による浮腫である膨疹に特徴づけられる疾患である.同様の反応がヒスタミンを皮内に注射して局所に発赤と膨疹を起こすことにより観察しうる.急性蕁麻疹の組織像として,皮膚真皮乳頭部の拡大を伴う皮膚表層に局在する微小静脈と毛細血管の拡張が見られ,その周囲に中等度のリンパ球や好酸球の浸潤が見られる7).血管性浮腫angioedemaは,皮膚深層や皮下組織に類似の組織変化が生じたものである.蕁麻疹は身体のあらゆる部位に生ずるが,血管性浮腫は顔面,舌,四肢に多くみられる.これらの疾患は,皮膚に存在するマスト細胞が,種々の刺激により強力な血管作動性のヒスタミンをはじめとするmediatorを放出することにより発症する.刺激となりうるものに抗原抗体反応(I型,III型),神経ペプチド(Substance-P,Somatostatin,など),Lymphokines,Calcium ionophore,FMLP,温熱,寒冷,日光,細胞内外のpHの変化,浸透圧の変化などがある.マスト細胞には結合組織型と粘膜型の2種が知られており(表1),遊離するmediatorは表2に示す物質が知られている.
掲載誌情報